2010年4月28日水曜日

道に迷わない為に

最近はGPSが携帯でも使えるようになりましたので
方向感に弱い方でも道に迷うことなく、随分便利になりました。
そもそも道に迷うのは、
「自分が今どこにいるのか」がわからないことに起因します。
現在位置がわからないのですから、
当然「目的地までどのように行けばいいのか」も不明です。
そこで不本意ながらあちこち歩き回り、
時間とお金を浪費することになります。
またやもすれば、曲がり角で交通事故にあうこともあるでしょう。
ヨーガでも同じことです。
私もしばしばインストラクターの先生やヨーガ歴の長い方から
「どうしたらいいのかわからない」という質問を受けます。
その傾向は、不勉強な方よりも、
むしろ熱心に汗を流している方に多く見られますが
皆さん総じてやればやるほど疑問が強くなってゆくとの事です。
もしヨーガの指導者が、道に迷っているようでは
ご本人もさることながら、お弟子さんたちも可哀想だと思いまして
とりあえず次のようなアドバイスをさせて頂いています。
それは「全体像を知る為の手段」でもあります。
友人から、XXX市の市役所前で待ち合わせましょう、とメールが来ました。
でも、XXX市なんて行ったこともありませんので、
どこにあるか皆目見当もつきません。
そこで一番楽な方法は、ヤフーの「地図」で市役所の名前を検索します。
すると最初は丁目レベルの拡大地図が表示されます。
でもそれでは自宅からどの方向なのかよくわかりませんので
順に縮尺を変えて(大きくして)位置関係を確認します。
そこで大体の場所がわかったら、
次に「路線」検索を使って最短距離の経路を調べます。
目的地に到達するには、
概ねこのような下準備の手順が役に立つわけですが
ヨーガの場合でも、サマディを目指すのならば
まず全体像を把握するところから始めなければなりません。
全体像を把握してから、そのプロセスとカリキュラムを決め
トレーニングを開始してからは、常に
自分が今どこにいるのかを確認する必要があります。
それができていれば、もはや「道に迷うことはない」はずです。
ヨーガスートラは、多少の「付け足し」はありますが
全体的に見ますと、極めて有効な旅の行程表であり評価できる文献です。
ですが、どんなに素晴らしい地図でも
「読み方」がわからなければ役に立ちません。
つまり問題は
「ヨーガスートラを正しく理解できるかどうか」にかかっているのです。
そこで私は、次の三つの「探」をいつも心掛けています。
 探源・・・源を探ること
 探原・・・原理を探求すること
 探限・・・限界を知ること
探源によってヨーガスートラの書かれた背景を知ることができます。
誰が、いつ、どこで、どんな目的で、
何をどのように達成させようとして、書いたのか。
探源を知ることができたら、
次は理論を具体化する技術体系の原理を探ります。(探原)
そして探限ですが、これは自らの限界を知るのではなく
その技術体系の限界を探ることを意味します。
つまり広域&詳細な地図と、
新幹線や地下鉄の路線図等の両方が必要なのですが
目的地が海外ならば、
国内交通機関の限界を超えているわけですから、航空路線図もいるわけで
その為にも「探限」は外す事ができない要素なのです。
ヨーガスートラのゴールは、
純粋観照者の出現とそれに続く真我独存です。
しかしながら、本文を読みますと、
無種子三昧という高い境地があることが示唆されています。
「最後に、この真智をも止めてしまった時、
一切の心の作用が止まってしまうから、無種子三昧が出現する。」
(ヨーガスートラ1-51)
さまざまな三昧の説明が何ページにもわたって続き
最終段階の無種子三昧という句にようやく話題が行き着いて
いよいよその解説かと期待しつつページをめくりましたら
なんと「第2章」ということで、、、。
30年前のことですが、凄くがっかりいたしました。
つまりヨーガスートラの終点は最終目的地ではなく、
乗り継ぎをするための中継点だったわけです。
私の経験で言いますと、下手な喩えですが
東京から成田(ヨーガスートラのゴール)まで成田エクスプレスで行き
今度は成田国際空港からエールフランスでパリに行く、
といったところでしょうか。
ヨーガスートラの説く8部門のヤマ・ニヤマは予備条件ですから
飛行機に持ち込めないものをチェック(禁戒)したり、
胃腸薬などを用意(勧戒)したりと、
まだ自宅で旅行の荷造りをしている段階です。
次のアーサナ、プラーナヤーマ、制感は
準備段階としての外部の部門だそうですから
自宅から東京駅までのプロセスでしょう。
そして「ヨーガの本命」と言われる凝念、静慮、三昧が
成田エクスプレスと言っていいと思います。
この国内の行程がヨーガスートラの領域だとしますと、
離陸してからは、今度はウパニシャッドの世界です。
個のムスビから、個と全体とのムスビに変わります。
自宅から東京駅まで、そして東京駅から成田まで交通機関も様々です。
リムジンバスが好きな方もいれば、
成田エクスプレスを常用する方もいるでしょう。
顕教ヨーガ、密教ヨーガ、それぞれ沢山の流派がありますが
いずれを選ぶかは個人の好みなのです。
ですが、どれを選ぶにしても
道に迷わない為には、全体図を知ること
そして常に自分がどこにいるのか、現在位置を把握しておくことです。
見知らぬ人にデタラメを聞いて、
変な方向へ行かないように気をつけましょう。