2010年5月8日土曜日

第三の眼

第三の眼・あるラマの自叙伝(1979年、講談社)
第三の眼とは、アジニァー・チャクラを指しますが
ヨーガをあまりご存じない方にも、この本はかなり読まれたようです。
あまりポピュラーではないチベット僧の修行話なのですが
秘教的な、ややオカルトがかったストーリー展開は
東洋的神秘思想への興味をかき立てるものでした。

この本が英国で発表された時、読者の第一の関心は
著者であるロブサンランパの正体についてでした。
真贋を含めた、さまざまな憶測を経て
最終的には実在しない架空の人間だということが判明しました。
ノンフィクション風の創作作品にしては実に真に迫っており
とても机上の想像だけで書けるような内容ではなかったのですが
真相はチベット旅行経験のない英国人の小説であり
その内容についても事実でないと断定されました。
真の著者であるシリル・ホスキンは、しばらく姿を隠していましたが、
2年後に次の様に弁解しました。

1947年に奇妙な霊感を得、
1949年に脳震盪を切っ掛けとしてそれまでの一切の記憶を失い、
チベット人の記憶に支配された、という摩訶不思議な説明でした。
乗り移られた彼がその憑依者の意志でこの本を書いたのであり
つまり本人は預かり知らぬという意味合いなのですが
荒唐無稽な作り話として、世間は一笑に付したと言います。

いずれにしても興味本位で小説として読むならば
結構楽しめる内容です。
ただ間違っても本気で受取らないように。
オカルトチックな空想小説として読む事です。
ところでこのような憑依によって書かれたという本は、
さほど珍しいものではなく、世界各地に散見することが出来ますが
その多くは自動書記によって書かれたとされているようです。
私はこの自動書記についてはあまり評価しませんが
それに類するものは何度か目にしたことがあります。
でもほとんどの場合、憑依というよりも本人の思い込みによるもののようです。
また、前世とかの生まれ変わり話や、チャネリングなども
似たような類だと思われます。