2010年7月13日火曜日

無門関

臨済禅では公案という修行が昔から重視されています。
師家から与えられる公案の課題を一つずつ解いてゆきながら
見性成仏に近づいてゆこうというわけです。
しかしながらこの課題というのが、
理屈で解ける性質のものではないので
坐禅などを通して何とか直感を得ようと、かなり苦労します。
そして解答を得たと思ったら、師家の部屋に赴き、一対一で応えます。
難しい公案では、ひとつ透るのに何年もかかるそうです。

有名な公案として例えば
「趙州狗子」「庭前柏樹(祖師西来意)」などがありますが
理論的にどんなに考えても、答えは見つかりません。
ただ以前、懇意にしていた老師にお会いした折
何人かの雲水がたとえ同じ答えを持ってきたとしても
透る場合と透らない場合がある、と伺いました。
だとすれば言葉上の決まった答えがあるわけではなさそうです。

公案ではありませんがかつて国学の師に、幾つか質問を受けたとき
無言&無表情で何ひとつ返答しなかったにも拘らず
「それでよい」と言われたことがありました。
公案については門外漢なのでよくわかりませんが
国学の場合、例えば「無」についての課題ならば
実際に「無になること」が、正しい「応え」なのです。
つまり口先で理屈をこねるのではなく、
体現するというか無声・無形で表すのが最上というわけです。

ここで前述の「趙州狗子」「庭前柏樹(祖師西来意)」を
簡単に、ご紹介したいと思います。(「無門関」岩波文庫)

「趙州狗子」~無門関 第1則
趙州和尚、因みに僧問う「狗子に還って仏性有りや」
州云く「無」。

「祖師西来意」~無門関 第37則
趙州、因みに僧問う「如何なるか是れ祖師西来の意」
州云わく「庭前の柏樹子」

無門関は、宋代に無門慧開老師によって編纂されました。
この無門関には48もの公案が紹介されており
各々に頌と評唱が付けられています。

そして無門関と共に有名なのが碧巌録です。
碧巌録は別名、仏果圜悟禅師碧巌録と呼ばれています。
臨済宗における代表的な公案集のひとつです。
こちらは宋代に、圜悟克勤老師によって編されました。
共に岩波文庫にありますので、ぜひ一度読まれることをお奨めします。
禅の妙味の一端を味わえるはずです。