2010年7月21日水曜日

秘伝の伝承

花を手でつまむことを粘華と言います。
粘華微笑とは、釈迦と摩訶迦葉との間で起きた
奥義伝承の美しい物語です。

摩訶迦葉は、
頭陀第一とされた十大弟子の一人として知られています。
釈迦の信頼が厚く、
釈迦が涅槃に入られてから後、その教団の指導者となり
王舎城で第一回結集を行なった人物です。
禅宗では特に重要な位置を占めている仏弟子です。
釈迦は晩年のある日、
霊鷲山に弟子たちを集め、説法の座につかれました。
皆釈迦の貴重な説法が聞けることを期待しつつ
法話の始まるのを待つのですが、
釈迦は何も語ろうとしませんでした。

しばらくして釈迦は、
一輪の華を胸前にかざして、ゆっくりと拈りました。
その場に会した弟子たちの誰もがその意味を理解できませんでしたが
唯一、摩訶迦葉だけは静かに微笑みました。
自らの得た法の核心が、まさにその瞬間に摩訶迦葉に伝わったと
そのとき釈迦は、皆に告げたと言われています。
それゆえか、彼は後に釈迦の後継者となられたわけですが
以心伝心によって真理を伝えることができるという禅話でもあります。

老子が道徳経に於いて「道可道 非常道」と説いているように
真理の核心を言葉で伝えることは不可能なのです。

この伝承方法に似たものは、
仏教のみならず、ヨーガ、丹道、古神道等にも多く見ることができます。
私も数百回体験しましたが、エネルギーのやり取りを通して
静寂の内に、無言で伝承が行なわれるものです。

バジアン師が来日されたときに習った技法の多くは
3HOのマニュアルにはほとんど掲載されていませんが
仮にあったとしても、その場で練習することにこそ
真の意義があったものと思います。
つまり「場」が違うからです。

また、幸いにして
師からはシャクティパッドといわれる特殊な訓練を
米国公使官邸において何度もマンツーマンで受けることができました。

一人で努力するのも大切なことだとは思いますが
もっとも大事なのは、然るべき師の居られる前で練習することなのです。

仮に摩訶迦葉のような天才であったとしても、
その師との邂逅の場数を踏まずに、マニュアルなどを頼りに独習していたら
果たしてゴールに至れるかどうか、とても疑問です。
弟子を悟り体験に導くことこそ
師の果たすべき役割のひとつなのです。
その手段の一つがシャクティパッドであり
外見的には粘華微笑の世界なのです。

なぜなら、奥義伝承は、
言葉を越えた次元で行なわれるからです。