2010年8月17日火曜日

ヨーガスートラとハタヨーガ

ヨーガスートラによって
古典的なヨーガ、つまりラージャヨーガの行法体系はほぼ確立されますが
その中核は次の8種類の部門になります。

1.五禁戒(yama)ヤマ
2.五勧戒(niyama)ニヤマ
3.坐法(asana)アーサナ
4.調息(pranayama)プラーナーヤーマ
5.制感(pratyahara)プラチャーハーラ
6.凝念(dharana)ダーラナ
7.静慮(dhyana)ヂャーナ
8.三昧(samadhi)サマディ

佐保田鶴治博士によれば、このヨーガスートラは
サーンキャ哲学をベースにしたサーンキャ・ヨーガ派の代表的な作品であり
また、仏教の影響も強く見られる、とのことです。

これに対してハタ・ヨーガ・プラディーピガーでは、
ヨーガスートラとかなり異なり次の4部門を骨格として、章を構成しています。

1.坐法・・アーサナ
2.調気法・・プラーナーヤーマ
3.ムドラー
4.ラージャ・ヨーガ

この違いは、前者がサーンキャ・ヨーガ派の作品であるのに対して
後者がタントラ思想を背景として成立した事に起因すると考えられます。

ですから佐保田博士は、
「ヨーガスートラの説く古典ヨーガは顕教ヨーガ、
ハタ・ヨーガ・プラディーピガーの説くハタ・ヨーガは密教ヨーガであります。」
と説明されています。(「ヨーガ根本経典」序文)

ハタ・ヨーガ・プラディーピガーの第3章の83から
「ヴァジローリー・ムドラー」等の説明を通して性的ヨガの解説が続きますが
それはハタ・ヨーガがタントラ系の行法であることの証左だと思います。

蛇足ですが、佐保田博士によれば
「ハタ・ヨーガは元来は
ヨーガ行のなかでは予備的な部門であったと思われる。(中略)
ところが、ゴーラクシャ・ナータのハタ・ヨーガは
ひとつの完成したシステムをなしているのである。」
として、さらに次の様に述べています。

「『ゴーラクシャ・シャタカ』のなかには、
ハタ・ヨーガの行法体系を形づくる部門として、
アーサナ(体位法)、プラーナ・サンヤマ(呼吸法)、プラチャーハーラ(制感法)
ダーラーナー(凝念法)、ディヤーナ(静慮法)、サマディ(三昧法)の六つがあげられている。」(「ヨーガ根本経典」237ページ)

このゴーラクシャ・ナータは、
ハタ・ヨーガの開発者、あるいは集大成した人物として知られている偉人です。
上記の六つの部門は、ヨーガスートラの8部門説と似た構成になっていますが
博士も指摘しているように、「その内容はだいぶ違ってはいる」わけで
さらに、ヤマとニヤマの2部門が骨格として含まれていないのが印象的です。