2010年11月3日水曜日

ハイブリッド・カー

過日、新幹線の車内に置いてある雑誌WEDGEを手に取りましたら
冒頭にとても興味深い記事が出ていました。

ハイブリッド・カー(HEV)は、
一般に環境に優しいエコカーだということになっていますが
同時に、深刻な環境破壊の原因にもなっているという話です。

最近はどうしても温暖化ガスに多くの注意が向いていますが
言うまでもなく、環境破壊は温暖化ばかりではないのです。

現在日本メーカーはHEV生産に不可欠な希土類磁石を作る為に
その原料となるディスプロシウムやテルビウムなどの元素を
100%近く中国から輸入していますが、
問題は、その採掘現場にあります。

そこで今何が行なわれているのか?
それを知ってから、HEVを購入しても遅くはないと思います。

前述の希土類精鉱ですが
採掘現場に直接大量の硫酸をかけて、浸出採取しているのです。
例えば、1000トンの鉱石から取れる希土類元素はわずか2トン。
つまり998トンの汚染土砂は、再処理もされずに
そのまま河に廃棄されています。
また、このようなケースだけでなく、工場排水や大気汚染等々により
昨今の河川の水質環境は、驚くほど悪化しています。

06年版の「中国環境状況広報」によれば
中国の7大水系(黄河、揚子江等)の全流域の計408箇所で検査したところ
全体の54%の水質が汚染されており、さらに深刻なのは
その5段階の審査区分にも入れられないほど重症と判断された「枠外」が
全体の26%もあった、というから驚きです。

昔日本でも光化学スモッグが大問題になっていましたが
中国では、都市部だけでも04年に35万8千人の人達が
大気汚染が原因で命を落としています。(P35)
これでは大規模な戦争並みの死者数です。

確かに
北京などいつも「もや」がかかっているようで遠くがよく見えないのですが、
当初はあれが大気汚染によるものだとは想いませんでした。
例えば「南方週末」誌によると
2007年12月だけでも「もや」は22日間に及びその日は
多くの人が呼吸困難、咳、めまい、倦怠感、吐き気イライラ感に襲われ、
病院に診察に訪れる患者も急増したとの事です。

記事(P36)では、「大気や海水の流れを見れば明らか」ということで
中国大陸からの越境汚染が日本を襲うと警鐘を鳴らしていますが
黄砂や酸性雨などのように、空気と水が、
国境を越えて繋がっていることを改めて考えさせられます。
中国を「世界の工場」そして「巨大市場」にした先進諸国は
それがもたらした深刻な環境破壊について、正しく認識すると共に
改善に向けた責任ある対応を、早急にとるべきだと思います。

環境問題については、ウソ、ホント、いろいろな意見がありますが
エコロジーを心掛けた結果、逆に環境を破壊していたとしたら
なんとも複雑な気分になりますね。
最近、日中問題の険悪化が話題ですが
実は、年初からレアアースの輸出制限は始まっていたそうです。
輸出制限に対する批判もいいですが、
同時に、生産には現地での環境破壊が伴うことも
忘れてはならないと思います。

『エコロジー運動』とは
「人間も生態系の一部であるという観点から、
自然環境と共生する生活や社会を構築することを
目指した運動のことを指しています。
自然保護や公害防止はもとより,
広く食品安全やリサイクル運動省エネ・省資源活動なども含みます。 」
(財団法人九州環境管理協会 環境関連用語より )