2011年5月14日土曜日

豊葦原の瑞穂の国


中国という語は、
元々「詩経」で「地理的な中心部」という意味で用いられたのが初出ですが
日本もかつて「葦原中国」(単に「中国」ともいう)と自称していたことがあります。  
しかし同じ漢字を使いながら、その意味は大きく異なります。
 
中国が、当初、地理的に世界の中心という解釈をしていたのに対し、
日本では、高天原と黄泉の国(根の国底の国)の間にある世界、つまり
顕界としてのこの世界(特に日本のこと)を指していました。
 
これは現実の世界という平面(地理)的な意味での中心という解釈ではなく、
霊的な意味で天地(あめつち)の間にある国という位置付けだったのです。
 
日本書紀には、豊葦原千五百秋(ちいほあき)瑞穂國
大祓祝詞にも、豊葦原の瑞穂の国、と書かれていますが
これは、文字の上からは
豊かな葦原と瑞々しく美しい稲穂が実る国、という意味です。

また辞書によれば、豊葦原の瑞穂の国とは
「神意によって稲が豊かに実り、栄える国の意、日本国の美称」
とあります。
 
神道において、
大嘗祭や新嘗祭が最も重要な神事の一つになっているように
瑞穂という語は美しさと豊かさの象徴であるとともに、
古来、とても神聖な意味があったのです。
 
大祓祝詞には、
「我が皇御孫命は 豊葦原瑞穂國を
安國と平らけく知ろし食せと 事依さし奉りき」
とありますが
今回の原発事故などは、この神意に逆行する最悪の事件だと思います。
大地と生きとし生けるもの等が放射能に汚染され、
長きにわたり穢れ(気枯れ)を残します。

放射性物質の半減期は、たとえば
セシウム137は半減期が30年、
プルトニウム239は2万4千年、ウラン238は45億年。

この半減期ですが、
単にその期間を経過することで半分になるという意味です。
つまり半減期ごとに半分になる現象が繰り返されるわけです。
ですので、半減期の10倍が経過すると
最初の約1千分の1まで減少することになります。

気の遠くなるような話ですが、それが原発のリスクなのです。
単に、発電コストが安くなるということで、原発を推奨してよいのか
本当の意味でクリーン・エネルギーなのか、等々、
現実を見てもう一度判断すべきでしょう。

私は、この豊葦原の瑞穂の国を
人が住めないような汚染地帯にするリスクを覚悟してまで
原発を維持し、また増設し続ける政策には、とても賛成できません。